笛吹けども踊らず 2018 11 11

書名 日銀バブルが日本を蝕む
著者 藤田 知也  文春新書

「日銀が金融緩和をしても経済は踊らず」
 しかし、経済が元気に踊った時代があるのです。
タイムマシンに乗って、1980年代に行ってみましょう。
 この時代は、急激に進む「円高」に対応するために、
日本銀行(日銀)は、急速に金融緩和政策を推進しました。
 その結果、日本は、不動産バブルと株式バブルが発生して、
東京23区の地価で、アメリカ全土を買収できると言われたものでした。
 現代に戻りましょう。
「アベノミクス」の一環として、
日銀は、大規模な金融緩和を進めました。
 にもかかわらず、バブルどころか、
インフレすら観測できない状態になっています。
(日銀自体がバブルになるという「局所バブル」だけでした)
 その理由は、なぜか。
それは、人口構成にあります。
 1980年代は、65歳以上の高齢者は、
人口に占める割合は、10%程度だったと思います。
 これは、「若い社会」と言えるでしょう。
そういう社会では、金利が低くなれば、
「お金を借りて何かをしよう」という機運になります。
これは、経済学の教科書通りの結果が出ます。
 しかし、2017年においては、
65歳以上の高齢者は、人口の30%近くに達すると思われます。
 このような社会では、
つまり、高齢者が多数派の社会では、
金利を下げても、さらにマネーを大量供給しても、
「笛吹けども踊らず」という結果になります。
経済学の教科書が通用しない社会になったのです。
 では、何をすればよかったのか。
私は、2003年に、このサイトに、
まず、少子高齢化に対する政策が必要であると書きました。
 当時は、「少子高齢化」という言葉が珍しく、
「しょうしこうれいか」とは、どういう漢字を書くのかと聞かれました。
 次に、定年の延長についても書きました。
よく言われることですが、「定年60歳」というものは、
日本人の平均寿命が70歳の時の定年です。
 今は、日本人の平均寿命は80歳になっていますので、
定年は「70歳」になっているべきです。
 あれから15年も経ちました。
政治は、「政局」という内部紛争で忙しく、
政策は、亀のように遅々として進んでいません。
 日本の政治の中心地である永田町には、
「政策はわからないが、政局は得意だ」という政治家が多くて困ります。










































































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